特定飛行に該当する「飛行の方法」とは?|夜間・目視外など“6つの飛び方”を網羅して整理
ドローンの「特定飛行」は、航空法のルール上、許可または承認が必要になりやすい飛行の総称です。
本記事はそのうち、「飛行の方法(どう飛ばすか)」に焦点を当て、現場で迷いやすい境界や、実務での落とし穴まで含めて整理します。
※「飛行空域(どこで)」の話(DID・空港周辺・150m以上など)は別記事のテーマです。
まず前提:「飛行の方法」の6類型に1つでも当てはまると、原則として飛行の承認が必要になります。
ただし、機体認証・技能証明・立入管理などの要件を満たすと、一部の特定飛行で許可・承認が不要になる場合があります(本文後半で説明します)。
目次
- 1. 結論:飛行の方法は6つ
- 2. 判定の手順(現場で迷わないための型)
- 3. 夜間飛行
- 4. 目視外飛行
- 5. 人又は物件から距離を確保できない飛行(30m)
- 6. 催し場所上空での飛行
- 7. 危険物の輸送
- 8. 物件の投下
- 9. 許可・承認が不要になる場合(“一部”に限る)
- 10. よくある誤解(ここで差し戻しが増えます)
- 11. 公式リンク(申請・ルール)
1. 結論|特定飛行に該当する「飛行の方法」は6つ
| 飛行の方法(6類型) | 一言でいうと | 現場の典型例 | 実務で問われる核心 |
|---|---|---|---|
| 夜間飛行 | 暗い時間帯に飛ばす | 夜景空撮、夜間点検、冬の夕方撮影 | 視認性・灯火・体制(誰が何を見るか) |
| 目視外飛行 | 操縦者の目で機体を直接見続けられない | モニター操縦、建物の裏へ回る、地形で見えない | 監視方法(補助者/機上カメラ/立入管理) |
| 距離を確保できない飛行(30m) | 人や物件から一定距離を取れない | 建物点検、狭い現場、道路沿い撮影 | 「第三者」の整理と、立入管理の設計 |
| 催し場所上空での飛行 | 多数の人が集まる催しの上空 | 祭り、花火、スポーツ大会、屋外イベント | “催し”の定義と、会場運営との調整 |
| 危険物の輸送 | 危険性のある物を積んで運ぶ | 可燃・高圧・毒劇物など(該当は要確認) | 「それは危険物か?」の根拠づけ |
| 物件の投下 | 機体から物を落とす/散布する | 散布、投下、吊り下げ物の切り離し | 落下・飛散の範囲設計と、フェールセーフ |
ここが実務の分かれ目:
同じ「飛行の方法」でも、第三者上空にならないように現場を区切れるか(立入管理)で、準備の重さが変わります。
まずは「第三者を入れない設計ができるか」を最初に検討すると、判断が速くなります。
2. 判定の手順|「何をするか」を文章にしてからチェックする
飛行の方法は、現場の言い回しが曖昧だと必ず崩れます。最初に、次の3行を書いてください。
① いつ飛ばす?(日中/薄暮/夜間)
② どう見て操縦する?(目視で追える/モニター中心/見えなくなる区間がある)
③ 何に近づく?何を運ぶ?何か落とす?(人・車・建物・イベント・危険物・投下)
この3行が書けたら、6類型に当てはめます。「当てはまるかも」なら、当てはまる前提で設計したほうが、差し戻しも事故も減ります。
3. 夜間飛行|「暗い」は主観ではなく“安全確保の難易度”
夜間飛行は、単に「夜に飛ばす」だけでなく、視認性が落ちる環境で安全を担保できるかが問われます。
特に、障害物の発見が遅れる/距離感が狂う/第三者の接近に気づきにくい、というリスクが同時に増えます。
現場で迷うポイント:
「夕方は夜間なの?」という質問が必ず出ます。迷ったら夜間として設計し、灯火・監視体制・手順を整えたほうが安全側です。
夜間飛行で“最低限”押さえる設計
1) 機体の視認性を作る
灯火や機体の向きが分かる工夫を入れ、操縦者・補助者が見失わない状態を作ります。
2) “誰が何を見るか”を分担する
操縦者が操作に集中するほど、周囲監視が薄くなります。補助者の配置や監視範囲の分担が核です。
3) 失敗したときの止め方を決める
暗いほどリカバリが遅れます。中止基準(風・視程・第三者接近)と、着陸場所・退避手順を先に決めます。
4. 目視外飛行|「モニターで見てるからOK」ではありません
目視外飛行は、操縦者が機体を直接目で見続けられない状態です。
モニター映像が見えていても、機体そのものの位置関係や周囲状況を“直接目視で”確認できないなら、目視外に寄ります。
目視外になりやすい典型例:
建物の裏に回る/樹木や地形で機体が隠れる/遠距離で機体が点にしか見えない/操縦者がモニターに集中して機体を見ていない。
目視外で問われるのは「監視の設計」
1) 補助者を置くのか
操縦者が目視できないなら、第三者・障害物・機体の位置を誰がどう監視するのかを明確にします。
2) 立入管理で“第三者上空”を避けられるか
目視外と相性が悪いのは「第三者が入り込む現場」です。飛行範囲への立入制限でリスクを下げます。
3) 機上カメラの限界を前提にする
機上カメラは万能ではありません。死角・逆光・解像度・遅延を前提に、速度・高度・中止基準を設計します。
5. 距離を確保できない飛行(30m)|一番多い“うっかり特定飛行”
人や物件と十分な距離を取れない飛行は、点検・測量・空撮で最も頻出です。
ここで重要なのは、距離の話が「第三者(関係ない人)」と「第三者の物件」も含む点です。
現場で起きる典型的な事故の芽:
「施主の敷地だから第三者はいないはず」と思って飛ばす → 通行人や近隣住民が入ってくる → 30mが守れず、現場が崩れます。
だからこの類型は、距離の計算より立入管理の設計が核心です。
距離確保“できない”と判断する目安
1) 近づく対象がある(点検対象=近接が前提)
壁・屋根・設備に寄るなら、距離確保は難しくなります。あらかじめ“近接飛行”として設計します。
2) 第三者が入る可能性がある(道路・河川・公園・開口部)
人が入ってくる導線が1つでもあるなら、距離確保だけで成立させるのは危険です。
3) 風で流される余地が少ない(狭い・障害物が多い)
狭い現場ほど、わずかな流れで30mの前提が崩れます。飛行速度・中止基準・退避経路が重要です。
6. 催し場所上空での飛行|「人が多い=催し」ではなく、運営と構造の話
催し場所上空は、人数が多いから危ない、というだけではありません。
重要なのは、人が集まる構造(導線・滞留・観客密度)があり、主催者が運営している空間であることです。
催し場所で実務が難しくなる理由:
①第三者が多く、立入管理が成立しにくい ②“上空”という言葉どおり、落下リスクが致命傷になる ③主催者・警備・行政など調整先が増える
催し場所での“先に決めるべきこと”
1) どの時間帯が「催し」なのか
設営・撤収・本番で密度が変わります。飛行する時間帯を固定し、会場運営と調整します。
2) 上空の定義を“落下範囲”で考える
機体直下だけでなく、風・速度・高度で落下点がずれます。落下範囲に第三者が入らない設計が必要です。
3) 主催者側のルールが強い
航空法の手続が整っていても、主催者がNGなら飛べません。安全計画を“主催者が理解できる言葉”で提出します。
7. 危険物の輸送|最初にやることは「それ、危険物ですか?」
危険物輸送は、運ぶ物の性質によって事故時の被害が大きくなるため、承認の対象になります。
実務で最初に必要なのは、運搬物の名称・性状・該当区分を明確にし、危険物に当たるかどうかの根拠を揃えることです。
注意:「バッテリーは危険物?」など、現場での勘違いが起きやすい分野です。
迷ったら、運搬物のSDS(安全データシート)や、関係法令上の区分を確認し、必要なら専門家・所管へ確認してください。
8. 物件の投下|散布・投下・切り離しは全部“投下”側に寄ります
物件投下は、落下・飛散がそのまま人身事故につながるため、承認の対象になります。
ここでいう「投下」は、単に“落とす”だけでなく、散布や吊り下げ物の切り離しなども含む方向で考えるのが安全側です。
投下で問われるのは「落ちる前提の設計」
1) 落下・飛散の範囲(最悪ケース)
風・高度・速度で範囲が広がります。最悪ケースで第三者が入らないように区切ります。
2) フェールセーフ(止まらない/戻らない時)
操作不能になった場合の停止・中止手順、投下の中断手順、回収計画まで含めて組みます。
3) 地上側の受け取り/管理
投下後の回収・立入管理・周辺確認がセットです。投下だけを空中で完結させないことが重要です。
9. 許可・承認が不要になる場合(“一部”に限る)
「飛行の方法」に該当しても、条件を満たすと許可・承認が不要になる場合があります。ここは誤解が多いので、言い切りではなく“要件を満たす場合に限る”で理解してください。
代表的な考え方:
①立入管理で第三者リスクを下げる(例:飛行範囲に第三者を入れない)
②機体認証+技能証明等で、一定条件下の特定飛行を“許可・承認不要”に近づける(制度上の要件あり)
たとえば国の資料では、十分な強度の紐等で係留(30m以内)し、さらに第三者の立入管理等の措置を行うことで、一部の許可・承認が不要になる趣旨が示されています。
また、DIPSの案内では、補助者なしの目視外飛行で第三者上空など、一部の特定飛行で許可・承認不要とするには、機体認証を受けた機体を技能証明を受けた操縦者が飛行させる必要がある旨が示されています。
※どの飛行がどの要件で不要になるかは、条件(カテゴリー・第三者上空・運航形態)で変わるため、必ず公式要件を確認してください。
10. よくある誤解(差し戻し・現場崩壊の原因)
誤解①「モニターで見てるから目視外じゃない」
機体を直接目で追えていないなら、目視外に寄ります。監視体制(補助者・立入管理・中止基準)から設計してください。
誤解②「敷地内だから第三者はいない」
道路・河川・近隣の導線があると、第三者は入ってきます。30mは“測る”より“入れない設計”が先です。
誤解③「夕方は夜間じゃない」
現場で揉める典型です。迷うなら夜間として設計し、灯火・監視・中止基準を厚くしたほうが、結果的に安全で早いです。
誤解④「承認があれば、他のルールは気にしなくていい」
航空法の承認とは別に、施設ルール・条例・プライバシー・電波法、さらに重要施設周辺の飛行禁止(別法)などが絡むことがあります。
11. 公式リンク(申請・ルール)
・無人航空機の飛行許可・承認手続(国交省):
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html
・飛行許可・承認申請ポータル(国交省):
https://www.mlit.go.jp/koku/permitapproval/
・DIPS2.0(国交省):
https://www.ossportal.dips.mlit.go.jp/
※本ページは「飛行の方法」に絞った整理です。最終判断は、最新の国交省情報・審査要領・現場条件に基づいて行ってください。
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