第2回|国家資格がないと飛ばせない?登録したら自由?よくある誤解を整理 

ドローン国家資格 “全体像”ガイド(はじめての一等・二等)

第2回|国家資格がないと飛ばせない?登録したら自由?よくある誤解を整理

ドローンの手続きがややこしく見える理由は、「資格」「登録」「許可・承認」「運航ルール」が別物なのに、ひとまとめに理解されがちだからです。
そこで今回は、現場で最も多い誤解を先に潰して、次回(取得までの流れ)以降がスッと入る状態に整えます。

まず“地図”|飛ぶために混同されがちな4つは別物です

区分 何を意味する? 誤解が起きるポイント 正しい結論
国家資格(技能証明) 操縦者の知識・能力を国が証明する 「資格がないと飛べない」 資格は必須ではない。ただし条件が揃うと一部の申請を省略できることがある
機体登録 所有者・機体を国に登録し、登録記号を表示する 「登録したらどこでもOK」 登録は飛ぶための前提。飛べる場所・飛び方は別に制限される
許可・承認(特定飛行) 危険が高い空域・方法(特定飛行)で飛ばすための手続 「包括があれば万能」 飛行の中身次第で、必要な手続きと条件が変わる
運航ルール(通報・記録など) 飛行計画の通報、事故報告、記録など 「許可があるから運航は自由」 許可・承認は入口。飛ぶ前・飛んだ後のルールが別にある

よくある誤解(この記事で全部潰します)

まずは一覧で把握してください。ここを先に理解すると、申請や勉強の話が一気に簡単になります。

誤解 正しい整理(結論だけ)
① 国家資格がないと飛ばせない

技能証明は多くの場合は、必須ではない。ただし、条件次第で申請を省略できる場面がある

※カテゴリーⅢ飛行、カテゴリーⅡ(レベル3.5)のみ必須。

② 登録したら自由に飛ばせる 登録は前提であって、空域・方法の制限は残る
③ 私有地なら好きに飛ばせる 土地の所有と航空法は別。私有地でもDID・空港周辺などに当たれば手続が必要
④ DIDじゃなければ許可いらない DID以外にも、空港周辺・150m以上・緊急用務空域などがある
⑤ 包括申請があれば全部OK 包括は万能ではない。飛行の組み合わせや条件で個別の設計・手続が必要になる
⑥ 許可・承認さえあれば他は不要 飛行計画の通報・事故報告など、運航ルールは別で必要
⑦ 100g未満なら完全に自由 航空法の扱いが変わることはあっても、重要施設周辺の別法・施設ルール等が残る

誤解①|国家資格がないと飛ばせない

結論:技能証明(国家資格)は、ドローンの飛行の多くの場合において必須ではありません。(※カテゴリーⅢ飛行、カテゴリーⅡ(レベル3.5)は必須。)
ただし、特定の条件を満たすと「許可・承認が不要になる」方向に効くため、価値が出ます。

国家資格は「飛ぶための免許」というより、国が定めた条件を満たした運航において、手続き面を合理化したり、リスクの高い運航の入口になったりする資格です。

ここがポイント(短く整理)

・カテゴリーⅠ(特定飛行に当たらない飛行)は、航空法上は原則、許可・承認が不要です。
・カテゴリーⅡ(立入管理を講じて第三者上空を避ける特定飛行)は、原則、許可・承認が必要です。
・ただしカテゴリーⅡの一部(例:DID・夜間・目視外・30m未満など)で、技能証明+機体認証等の条件を満たすと、許可・承認を不要にできる扱いがあります(条件つき)。

<以下の場合は、ドローン国家資格が必須>
・カテゴリーⅢ(立入管理なし=第三者上空を伴うレベル4等)は、一等第一種機体認証等を前提に、さらに大臣許可などが必要になります。

・カテゴリーⅡ(レベル3.5飛行)

 つまり「資格がないと飛べない」ではなく、“どんな飛行を、どう安全に成立させるか”で、資格が「必要になる場面/効く場面」が決まります。

誤解②|登録したら自由に飛ばせる

結論:登録は「飛ぶための前提」であって、自由に飛ばせる許可証ではありません
登録したうえで、空域・飛行方法・運航ルールを守って初めて飛べます。

 100g以上の機体を屋外で飛ばすなら、原則として機体登録が必要です。登録していないと「そもそも屋外を飛ばせない」という整理になります。
 しかし登録は「誰の機体かを追える状態にする」ための制度で、飛行の可否を決めるのは別のルールです。

登録後に、別でチェックが必要なもの

① どこで飛ばすか(空港周辺、150m以上、DID、緊急用務空域など)
② どう飛ばすか(夜間、目視外、30m未満、イベント上空、危険物、投下など)
③ 飛ぶ前にやること(飛行計画の通報など)
④ 飛んだ後にやること(記録、事故等の報告など)

 つまり「登録=スタートライン」です。ここを混同すると、無意識に違反しやすくなります。

誤解③|私有地なら好きに飛ばせる

結論:土地の所有と、航空法のルールは別です。
 私有地でも、上空がDIDだったり、空港周辺だったり、飛行方法が夜間・目視外だったりすれば、手続きが必要になることがあります。

 現場で一番多い落とし穴は「敷地内だから第三者はいないはず」という思い込みです。実際には、通行人が入ってくる導線があれば第三者になります。
 この誤解を潰す最短ルートは、「土地」ではなく「第三者上空になるか」で現場を設計することです。

誤解④|DIDでなければ許可いらない

結論:DIDは“代表例”に過ぎません。空域には他にも「空港周辺」「150m以上」「緊急用務空域」があります。
 DIDだけ見て安心すると、別の空域でアウトになります。

 とくに空港周辺は、航空法とは別に、重要施設周辺での飛行禁止(別法)がかかることもあります。「DIDじゃない=自由」ではなく、“どのルールの地図で見ているか”が大事です。

誤解⑤|包括申請があれば全部OK

結論:包括は便利ですが万能ではありません。
飛行の組み合わせ(例:夜間×目視外×DIDなど)や、現場条件(第三者導線、催し、危険物、投下など)で、個別の設計・手続が必要になります。

 包括を「何でもOKの免罪符」として理解すると、現場で一番危険です。包括はあくまで「一定の前提条件で、反復する飛行を回しやすくする仕組み」です。
 実務では、まず飛行の中身を文章で確定し、その上で「包括で足りるか」「個別が必要か」を判断します。

迷ったときの鉄則

「現場を区切って第三者を入れない設計ができるか?」が判断の軸です。
できる → カテゴリーⅡとして設計しやすい。
できない → 高リスク側になり、包括どころか制度設計から変わります(一等・機体認証・許可などを含めて再検討)。

誤解⑥|許可・承認さえあれば、他は不要

結論:許可・承認は“入口”です。
飛ぶ前の飛行計画の通報、飛んだ後の事故等の報告など、運航ルールは別で存在します。

 ここが抜けると「許可書は持っているのに違反」という最悪の形になります。
 実務では、許可・承認の取得飛行計画の通報現場の安全体制を、同じ案件フォルダでセット管理するのが最も事故が減ります。

誤解⑦|100g未満なら完全に自由

結論:100g未満は航空法上の扱いが変わることがありますが、「何でもOK」にはなりません
とくに重要施設周辺の別法(空港周辺など)は、重量にかかわらず飛行が禁止される場合があります。

 現場の安全は「重さ」だけで決まりません。100g未満でも、施設管理者のルール、条例、プライバシー、電波の扱いなど、別の論点が残ります。
 「軽いから大丈夫」ではなく、周囲に迷惑や危険が出ない形に設計できるかで判断してください。

最後に|“迷わない順番”チェック(この順で見れば混乱しません)

ここまでを、実務で使える順番にまとめます。迷ったらこの順で確認してください。

1|機体は100g以上か(対象か)
2|機体登録は済んでいるか(登録記号の表示など)
3|どこで飛ばすか(空域)/どう飛ばすか(方法)=特定飛行か
4|カテゴリーはⅠ/Ⅱ/Ⅲのどれか(第三者上空を避けられるか)
5|許可・承認が必要か(技能証明・機体認証で省略できる条件があるか)
6|飛行計画の通報など、運航ルールを実施するか

 この順番で見れば、「登録したのに飛べない」「資格があるのに止められる」といった混乱はほぼ消えます。

第3回:
申込 → 学科 → 実地 → 取得後まで、「迷わない手順」を一本道でまとめます。
今回の誤解つぶしが終わっていると、第3回がそのまま行動マニュアルになります。

公式リンク(一次情報)

・無人航空機操縦者技能証明(国家資格):
https://www.mlit.go.jp/koku/license.html

・飛行申請が必要な「特定飛行」/カテゴリー整理(申請ポータル):
https://www.mlit.go.jp/koku/permitapproval/

・飛行許可・承認手続(全体手続の中での位置づけ/通報・報告も含む):
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html

・無人航空機登録ポータル(100g以上の登録):
https://www.mlit.go.jp/koku/drone/

・DIPS2.0(飛行計画の通報など):
https://www.ossportal.dips.mlit.go.jp/

・重要施設周辺(空港周辺など)の別法:
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk2_000023.html

※制度は改正されます。最終判断は、必ず最新の国交省公表情報と現場条件に基づいて行ってください。

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