第6回|ドローン国家資格は難しい?学科・実地の難易度と“落ちない対策” 

ドローン国家資格 “全体像”ガイド(はじめての一等・二等)

第6回|ドローン国家資格は難しい?学科・実地の難易度と“落ちない対策”

「難しいかどうか」は、知識量よりも、合格基準の高さ当日のミス耐性の低さで決まります。
学科は「短時間で高得点」が必要。実地は「操縦の上手さ」より「手順と安全確認の抜け」が致命傷になりやすい。
この回では、学科・実地それぞれの“落ち方”を先に知って、落ちない準備に変えます。

目次


1. 何が「難しい」を作るのか

ドローン国家資格の試験が難しく感じられる理由は、主に次の3つです。

① 学科は「高正答率」が求められる。二等でも80%程度、一等は90%程度が目安とされ、取りこぼしが許されにくい設計です。
② 学科は「時間が短い」。二等は30分で50問(1問あたり約36秒)。知っていても読み間違えると負けます。
③ 実地は「減点方式」。操縦だけでなく、飛行前点検・記録・声出し・指示遵守など、手順の抜けが減点になり、一定を超えると不合格になります。

つまり、難しさの正体は「天才しか無理」ではなく、“ミスを減らす設計”ができるかです。ここを押さえると一気に勝ちやすくなります。

2. 学科の難易度:時間と正答率が厳しい

項目 二等 一等 意味(難しさの理由)
形式 三肢択一式(50問) 三肢択一式(70問) 知識の穴がそのまま失点に直結
試験時間 30分(≈36秒/問) 75分(≈64秒/問) 二等は特に「読み間違い」が致命傷
合格基準(目安) 正答率80%程度 正答率90%程度 “落としていい数”が少ない=難しく感じる

学科が苦しい人の共通点:
「教則を一通り読んだ」だけで、設問にするための言い回し(最も適切/不適切、例外条件、数字・手順の順番)に慣れていないケースが多いです。
対策は、暗記量を増やすより、“出題形式に合わせて練習する”ことです。

3. 学科で落ちない対策:勉強の順番と当日の戦い方

(1)教材は「教則+サンプル問題」で十分に戦える

学科は国交省が発行する「無人航空機の飛行の安全に関する教則」に準拠して出題され、2025年4月17日以降は第4版に準拠すると案内されています。
まずは、教則で“土台”を作り、次にサンプル問題で“試験の言い回し”に慣れるのが最短です。

(2)勉強の順番:広く→危ないところだけ深く

学科は範囲が広いので、最初から細部に入ると沼になります。おすすめの順番は次の通りです。
① ルール(航空法・許可承認・飛行の基本ルール)② 機体の仕組み(マルチローターの特性、電波・GNSS)③ 気象とリスク管理④ 運航体制(点検・CRM・緊急対応)
“現場に直結する章”から理解すると、丸暗記が減り、読み間違いも減ります。

(3)当日の勝ち方:二等は「時間管理」が最優先

二等は1問あたり約36秒です。迷って立ち止まると、後半で時間が足りなくなり、知っている問題を落とします。

具体的には、1周目=即答できるものだけ進める2周目=迷う問題を回収最後=“最も適切/不適切”の読み間違いを点検、の順番が安全です。
一等でも正答率90%程度が目安なので、時間よりも「落とす数を減らす」ほうが重要になります。

4. 実地の難易度:減点方式で「手順ミス」が刺さる

実地は「飛ばせればOK」ではありません。机上試験・口述試験・実技試験で構成され、減点方式で採点されます。
案内資料では、二等は減点合計が30点を超えると不合格、一等は20点を超えると不合格とされています(=一等のほうがミス耐性が低い)。

“落ち方”のタイプ どうして起きる? 現場での意味
(A)即終了(中止・不合格) 減点表で「不」に該当する事項が生じる/試験員の指示に従わない/不正疑い等で中止 “上手い下手”以前の、試験の前提条件で負ける
(B)じわじわ減点で不合格 口述(点検)で抜けがある/声出しが曖昧/経路逸脱・区画進入などで減点が積み上がる “操縦”より“手順の抜け”が点数を削る
(C)最終盤で崩れる 焦って速度が上がる/修正が遅れる/安全確認が薄くなり、減点が連鎖する 実地は「慎重さ」が得点になる

実地の“本質”:
国交省の実施細則では、実地試験は100点の持ち点からの減点式で、科目終了時に70点以上を確保した受験者を合格とする、と定められています。
さらに、飛行経路逸脱を把握するため減点区画・不合格区画を明示</bし、減点表で「不」とされた事項が生じると実地試験を中止して不合格とする、とされています。
つまり、実地は「上手さ」よりも“減点されない動き”を再現できるかが勝負です。

5. 実地で落ちない対策:試験を“手順ゲーム”として攻略する

(1)「声出し」は採点のために必須

実地の注意事項では、試験員の指示した手順に従って開始・終了した場合、その都度、明確な声で知らせるよう求められています。
これは礼儀ではなく、正確な判定のために必要と明記されています。
逆に言うと、声出しが曖昧だと「やったのに伝わっていない」=失点の原因になります。

(2)聞き取れない指示は「即、聞き返す」

注意事項では、試験員からの指示や質問が聞き取れない場合、速やかに遠慮なく聞き返すよう案内されています。
分かったふりで進めるほうが危険です。実地は“確認できる人”が強いです。

(3)操縦は「遅くて正確」が勝つ

実地は減点方式です。乱れた操作は、修正の連鎖で減点が積み上がります。
目標は“華麗に飛ぶ”ではなく、逸脱しない速度で、毎回同じ動きを出すことです。
迷ったら、まず落ち着いて姿勢を作り直す(=立て直す余白を残す)ほうが減点が減ります。

(4)“即終了”を避ける:試験の前提条件を落とさない

実地は、条件を落とすと途中で中止されることがあります(遅刻、指示不遵守、不正疑い、体調不良など)。
さらに、減点表で「不」に該当する事項が生じた場合は、実地試験を中止し不合格とする、と実施細則にあります。

対策はシンプルです。集合・持ち物・服装・本人確認を前日に固定し、当日は余計な判断をしない。
実技以前のミスで落ちるのが一番もったいないので、ここは“作業”として潰します。

6. 最短の合格戦略(あなたがやるべき順番)

最短で落ちない手順:
① 学科は「教則(第4版)→サンプル問題」で“言い回し”に慣れる → ② 二等は時間練習(30分)を必ず1回入れる → ③ 実地は「声出し+確認+遅く正確」をセットで練習する。
これだけで“落ち方”の多くは消えます。

もし、あなたが「実地が不安で練習環境がない」なら、試験ルートより講習ルートのほうが結果的に安くなる場合があります(再受験が減るため)。
逆に、練習環境があり、手順を自分で固められる人は、試験ルートで固定費を抑えられることがあります。

どちらでも、合格の本質は同じです。学科=読み間違いを潰す実地=手順の抜けを潰す
“操縦の才能”ではなく、“ミスが起きない設計”で勝てます。

公式リンク(一次情報)

・学科試験(形式・問題数・試験時間・合格基準目安・教則第4版準拠):
無人航空機操縦士試験案内サイト|学科試験

・国交省:教則(第4版)・サンプル問題・実地試験実施基準(改正情報含む):
国土交通省|無人航空機操縦者技能証明等

・実地試験(マルチローター)注意事項(中止条件/声出し/聞き返し等):
ClassNK|実地試験の実施における注意事項(PDF)

・二等(マルチローター)実地試験実施細則(減点方式・合格基準・不合格条件の根拠):
国交省|二等 実地試験実施細則(マルチローター)(PDF)

※試験基準・教則・細則は更新されます。必ず最新の国交省および指定試験機関の案内に基づいて準備してください。

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