ドローンと建設(進捗管理・出来形・土量・安全確認)

ドローンと建設

(進捗管理・出来形・土量・安全確認)

建設現場のドローンは「測量ほど厳密」より、現場判断に使える“分かる記録”が価値になります。
成功の鍵は、カメラ性能より定点化(毎回同じ条件)安全設計(車両・作業員・クレーン)です。
このページは、建設用途を“現場で回る型”として整理します。

目的

工事の進み具合を俯瞰で把握し、関係者間の共有を速くするために使われます。 測量ほど厳密でなくても、現場の判断材料として価値があります。 建設用途の本質は、「見た目の良さ」より「比較できること」です。 毎週・毎月の変化を同じ条件で残せるほど、会議・施主説明・工程判断が速くなります。

現場

定点・同条件で繰り返し撮影し、比較しやすい運用にします。 工事車両や作業員が動くため、飛行時間帯や撮影場所の安全設計が重要です。 建設現場は、車両の動線、作業員の移動、クレーン作業などが常に変わるため、空撮よりも“地上の危険が動く現場”として設計します。

成果物

定点写真、進捗動画、簡易オルソ、土量の概算、共有用のレポートなどです。 「誰が見ても状況が分かる」整理が求められます。 建設用途は、編集よりも整理が価値になります。 「どこがどう変わったか」が一目で分かる形にまとめるほど、社内の意思決定が速くなります。

よくある誤解

「建設はとりあえず上から撮れば十分」となりがちですが、比較のための定点化がないと価値が下がります。 撮り方を“毎回同じ型”にするのがコツです。 建設用途で失敗が多いのは「撮り直し」ではなく、撮っているのに比較できず、使われないことです。


この用途で特に押さえるべき「特定飛行」の論点

建設現場は「敷地内だから安全」と思われがちですが、実際は第三者(関係者以外)が入り込む導線があれば第三者になります。 また、作業員・車両が動くため、30m未満目視外が発生しやすく、都市部ではDIDも重なります。 さらに、長期運用では「同じ現場でも条件が変わる」ため、手続き・安全措置の前提を固定するのが重要です。

論点 建設で起きやすい場面 現場での対策の方向
30m未満(人/物件) 作業員・車両・重機が近い/狭い現場で離発着場所が限られる “測る”より“入れない”。導線を押さえ、立入管理を成立させる
目視外 敷地の端・高低差・仮設構造物で機体が見えない 監視体制(補助者/配置/中止基準)を決め、ルートを短く区切る
DID(人口集中地区) 都市部の建設現場、再開発、道路工事 DID判定→区切り設計→成立しないなら撮影方法を変更
夜間(薄暗い時間帯含む) 早朝・夕方の定点撮影、夜間作業の確認 視認性・灯火・中止基準を厚く。迷うなら夜間前提で設計
空港周辺/150m以上 高所カット、地形差、空港近接の工事 該当確認を早期に実施。必要なら所管と調整し証跡を残す

建設の鉄則:「敷地内だから大丈夫」ではなく、動線があるなら第三者が入り得るが基本です。
建設現場は“人と車が動く”ので、撮影は時間帯離発着場所の設計で勝ちます。


価値が上がる「定点化」の型(毎回同じ条件にする)

建設用途は、1回の映像より、繰り返し比較できることが価値です。 そのために必要な“固定”を、実務の言葉で整理します。

STEP1|定点(位置)を固定する

毎回違う場所から撮ると、比較できません。離発着位置と撮影位置(高度・向き)を固定し、 “同じ構図が再現できる”状態を作ります。

STEP2|条件(高度・画角・時間帯)を固定する

高度や画角が変わると、進捗が伝わりにくくなります。 さらに時間帯が変わると影が変わり、比較が難しくなります。 だから建設用途は、可能な限り同じ時間帯で撮ると強いです。

STEP3|撮影メニューを固定する(毎回やる“セット”)

定点写真だけでなく、「全景」「主要エリア」「危険箇所」「資材置場」など、毎回撮るセットを決めると、 現場共有が速くなります。現場の意思決定に直結します。

STEP4|ファイル名とフォルダ構成を固定する

共有で詰まるのは、撮影より整理です。 「日付→地点→カット番号」のルールで揃えると、誰でも迷わず比較できます。


安全確認の“現場ルール”(作業員・車両が動く前提)

建設現場は常に動いています。安全設計は、飛行そのものより「地上の運用」が中心になります。

  • 飛行時間帯:朝礼前、休憩時間など、車両・人の動きが少ない時間を選ぶと安全側です。
  • 離発着場所:資材や車両の動線から外し、第三者が入りにくい位置を固定します。
  • 連絡:現場責任者と、当日の作業内容(クレーン・高所作業)を事前に共有します。
  • 中止基準:風・視認性だけでなく、「車両が入った」「作業員が集まった」など地上条件で止めるルールを決めます。

成果物を“誰が見ても分かる形”にする(共有用の整理)

建設用途は、編集より整理です。共有に使える形に整えると、現場の価値が一気に上がります。

成果物 価値 作り方のコツ
定点写真 進捗の変化が一目で分かる 同じ構図・同じ高度・同じ時間帯で撮る
進捗動画 施主説明・社内共有が速い 短尺で“変化が分かる”カットだけに絞る
簡易オルソ/土量概算 判断材料として便利 精度条件を“出来形級”と混同しない(目的を明確に)
共有用レポート 会議が短くなる 「変化点」「注意点」「次の焦点」を短くまとめる

発注者・現場責任者に先に伝えると揉めない「説明のポイント」

建設用途は「とりあえず撮って」になりやすいですが、価値を出すには定点化が必要です。
先に伝えるべきは、①定点と条件を固定しないと比較できない②車両・作業員の動きで飛行時間帯が制約される③成果物は“共有できる形”に整理して納品する、の3点です。
これを最初に合意しておくと、現場運用がスムーズになります。

最後に|建設は「定点化」と「安全な時間帯設計」で勝つ

建設用途は、測量ほど厳密でなくても価値が出せる一方、定点化しないと使われないという落とし穴があります。
毎回同じ型で撮り、車両・作業員が動く前提で安全設計をし、共有できる形に整理する。
“高性能な機体”より、“同じ型で回る運用”が、建設では長く勝ちます。

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