ドローンと農業(散布以外:生育確認・圃場管理・被害把握)

ドローンと農業

(散布以外:生育確認・圃場管理・被害把握)

農業でのドローン活用は「散布」だけではありません。
生育確認・圃場管理・被害把握は、“早めに気づいて、早めに手当てする”ための道具です。
成功の鍵は、カメラ性能よりも、同じ条件で繰り返し撮る(比較できる)ことと、気づきたいポイントを先に決めることです。

目的

作物の生育状況や圃場の状態を、広い範囲で効率よく把握するために使われます。 見回りの省力化と、早めの手当てにつなげるのが狙いです。 この用途の価値は「空から見た」ことではなく、異常の兆候(ムラ・倒伏・水たまり・獣害)を早く拾い、対策の優先順位を付けられることにあります。

現場

圃場全体を一定の条件で撮影し、日や週で変化を見られるようにします。 必要に応じて、色の違い・水たまり・倒伏・獣害など“気づきたいポイント”を先に決めます。 農業用途は、測量のように厳密でなくても価値が出ますが、条件が毎回バラバラだと比較できず、結局“見ただけ”で終わります。 だから、定点化(同じ高度・同じ画角・同じ時間帯)を最初に作ってしまうのが強いです。

成果物

圃場の写真・動画、変化が分かる比較画像、簡易マップ、気になる箇所の位置情報などです。 現場判断に使える「見せ方」が大事です。 例えば「気になる場所にピンを立てた地図」や「同じ構図の比較画像(先週/今週)」にすると、共有が一気に楽になります。

よくある誤解

「農業=散布だけ」と思われがちですが、実際は“観察と管理”でも価値が出ます。 また、撮っただけで終わらせず、比較できる形に整えると効果が上がります。 農業用途は、編集よりも“比較できる整理”が成果を決めます。


この用途で特に押さえるべき「特定飛行」の論点

農業(観察・管理)の飛行は、散布ほど「投下」論点は強くありませんが、広い範囲を規則的に飛ばすため、 目視外第三者導線が問題になりやすいのが特徴です。 また、圃場の位置によっては空港周辺DIDにかかるケースもあるため、先に地図で確認しておくと安全です。

論点 農業(観察・管理)で起きやすい場面 現場での対策の方向
目視外飛行 圃場が広く、機体が遠方へ行く/遮蔽物で見えない 補助者配置・監視範囲・中止基準を決め、区画を分割して運用
30m未満(人/物件) 農道・用水路・道路が近く、人や車が入り込む 導線を押さえて立入管理。車両が来たら即停止できる体制
空港等の周辺 平野部の圃場が空港圏にかかる 境界付近は所管へ確認し、証跡(スクショ・記録)を残す
DID(人口集中地区) 市街地近郊の圃場(意外にDIDがかかる) DID判定→区切り設計→成立しないなら運用を変更
150m以上(地表から) 山間部・斜面・谷で地形差によりAGLが増える 地形とルートで最高AGLを見積もり、最大高度を上限設定

農業(観察)の鉄則:「広く一気に飛ばす」ほど、目視外・導線・通信のリスクが上がります。
成功率を上げるコツは、圃場を区画分割し、短時間で確実に回る運用にすることです。


価値が上がる「定点化」の型(比較できる運用にする)

農業(観察・管理)は、測量ほど厳密でなくても、比較できれば価値が出ます。 比較できるようにするために、最初に固定する要素を整理します。

STEP1|高度と画角を固定する

高度が変わると見え方が変わり、色の差・ムラの比較が難しくなります。 “同じ高度・同じ画角”を基本にします。

STEP2|時間帯を固定する(影と露出を揃える)

朝夕は影が長く、見え方が変わります。可能なら同じ時間帯で撮影すると比較が楽になります。 「影の差」を変化と誤認しにくくなります。

STEP3|飛行ルートを固定する(同じ順番で回る)

圃場を区画化し、毎回同じ順番で回ると、撮影漏れが減り、比較もしやすくなります。 ルートが固定されると、補助者の配置や立入管理も安定します。

STEP4|「気づきたいポイント」を先に決める

色ムラ、水たまり、倒伏、獣害、病害の兆候など、目的で見るべき場所が変わります。 先に決めておくと、撮影が“観察”として機能します。


成果物を“現場判断に使える形”にする(見せ方のコツ)

農業用途は、編集より整理です。現場判断に使える形に整えると、効果が上がります。

成果物 価値 作り方のコツ
圃場全景の写真・動画 一目で状況を掴める 同じ高度・同じ画角で撮る(定点化)
比較画像(先週/今週) 変化が見える=判断が速い 同じ構図で並べ、注目点を短くメモする
簡易マップ+ピン 「どこを見に行くか」がすぐ分かる 気になる箇所にピン+写真番号の対応表
位置情報つきメモ 見回り・補修の優先順位が付く 「場所→状態→推定原因→次の手当て」を短く書く

最後に|農業は「観察の仕組み」を作るほど効く

農業でのドローン活用は、散布だけでなく、観察と管理でも大きな価値が出ます。
毎回同じ条件で撮って比較できる形に整え、気づきたいポイントを先に決めれば、見回りが“判断の道具”になります。
“高性能な機体”より、“比較できる運用”が、農業では長く勝ちます。

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