ドローン測量(写真測量・点群・地形把握)

ドローン測量

(写真測量・点群・地形把握)

測量用途のドローンは「飛ばして撮る」より、精度を出すための設計が本体です。
現場では、飛行設計 → 撮影 → 基準合わせ → 後処理 → 検証 → 納品までを一連で回します。
このページは、測量案件を“納品まで崩れない形”に整理します。

目的

広い範囲を短時間で計測し、地形や構造物を“数字で”扱える状態にするために使われます。 工事計画、出来形管理、土量管理などに役立ちます。 測量の価値は「見た目がきれい」ではなく、座標・スケール・高さが揃ったデータとして再利用できることにあります。

現場

欲しい精度から飛行高度や撮影間隔を決め、重なりを確保して規則正しく撮影します。 必要に応じて基準点や既知点で整合を取り、後処理まで含めて一連の作業として進めます。 測量は、当日の風や光の条件、地形の起伏、立入管理の成否で結果が変わるため、「撮影できた=成功」ではなく、「再現性のあるデータになった=成功」と捉えるのが重要です。

成果物

オルソ画像、点群データ、3Dモデル、等高線、土量計算結果、レポートなどです。 納品形式(座標系、ファイル形式、精度条件)を先に揃えることが重要です。 現場によっては、座標系(平面直角座標/世界測地系/ローカル座標)標高(標高基準)点群密度・メッシュ間隔検証方法(チェック点)まで指定されます。

よくある誤解

「飛ばして撮れば自動で正確な地図ができる」と思われがちですが、精度は飛行設計と基準の取り方で大きく変わります。 撮影より“前後の設計と整理”が肝です。 測量は、撮影の前に8割決まると考えると、トラブルが激減します。


この用途で特に押さえるべき「特定飛行」の論点

測量は空撮よりも「規則正しく」「広い範囲を」飛ばすため、目視外になりやすい高度が上がりやすい第三者導線が入りやすいという特徴があります。 先に当たりやすい論点を押さえておくと、飛行計画と申請が一本化できます。

論点 測量で起きやすい場面 現場での対策の方向
目視外飛行 広域をグリッド飛行し、機体が遠方・死角に入る 補助者配置・監視範囲・中止基準を先に設計。ルートを短く区切る
30m未満(人/物件) 道路・河川・農道が範囲に入り、第三者が侵入する “測る”より“入れない”。導線を押さえ、立入管理を成立させる
DID(人口集中地区) 造成地・宅地開発・市街地の出来形、インフラ周辺 事前にDID判定。区切り設計が難しいなら計画を作り替える
150m以上(地表から) 山間・斜面・谷で、地形差によりAGLが増える 地形とルートで最高AGLを見積もり、最大高度を上限設定する
空港等の周辺 河川・海岸・平野部の測量が空港圏にかかる 境界付近は管理者・所管へ確認し、証跡(スクショ・記録)を残す

測量の鉄則:「広く一気に飛ばす」ほど、目視外・第三者導線・通信途絶のリスクが上がります。
成功率を上げるコツは、飛行範囲を小さく分割し、立入管理と監視体制を“毎回成立する形”にすることです。


精度が決まる「飛行設計」の考え方(撮影前に8割決まる)

測量は、撮影がうまくいっても、設計がズレていると後処理で破綻します。 ここでは、現場で必ず必要になる“判断の順番”を整理します。

STEP1|まず「用途と精度条件」を固定する

出来形管理なのか、土量なのか、地形把握なのかで、必要精度や検証方法が変わります。 ここが曖昧だと、飛行高度も重なりも決められません。

STEP2|高度と重なり(オーバーラップ)を設計する

低く飛ぶほど点群は密になりますが、飛行回数が増え、風や第三者導線の影響を受けやすくなります。 逆に高く飛ぶと範囲は稼げますが、解像度が落ちます。 “現場で成立する範囲”で、重なりを確保するのが基本です。

STEP3|基準の取り方(GCP/既知点/RTKなど)を決める

精度は「撮影」より「基準合わせ」で決まる場面が多いです。 どの基準で整合を取るかを先に決め、現場で“取れる”運用に落とします。 (基準点を置けない現場は、その時点で計画を作り替える必要があります。)

STEP4|再撮影リスクを下げる(天候・光・風・反射)

点群は光と影の影響を受けます。風でブレれば特徴点が取れません。 だから測量は「撮影できる日」ではなく、「処理が成立する日」を選ぶほうが強いです。


後処理で崩れない「データ整理」の型(撮影後の勝負)

測量は撮影後に本番が来ます。納品までスムーズに進めるために、整理の“型”を持っておくと強いです。

整理ポイント なぜ重要? 最短の対策
座標系・標高の指定 違う座標系で作ると、後で合わずにやり直しになる 契約前に「座標系・標高基準」を確定して書面にする
ファイル形式・納品単位 オルソだけで良いのか、点群も必要かで工数が変わる 「成果物一覧」を先に合意(オルソ/LAS/LAZ/3D/等高線など)
精度条件(検証方法) “精度が出ているか”の判定が曖昧だと揉める チェック点・検証レポートの形式まで決めておく
撮影ログ・証跡 後から「いつ・どこで・どう撮ったか」を説明できる 飛行計画・日誌・写真一覧を案件フォルダで一括管理

発注者に先に伝えると揉めない「説明のポイント」

測量は「撮影できるか」より「要求精度を満たす形で処理できるか」が本質です。
先に伝えるべきは、①精度条件で飛行設計が変わる②基準点が取れないと成立しない場合がある③納品形式が曖昧だとやり直しになる、の3点です。
この3点を最初に合意しておくと、後工程のトラブルが激減します。

最後に|測量は「撮影」より「設計と整理」で勝つ

測量で一番多い失敗は、「とりあえず飛ばして撮る」ことで、後処理で精度が合わずに撮り直しになることです。
逆に、用途と精度を固定し、飛行設計と基準の取り方を決め、納品形式を先に合意すれば、成功率は一気に上がります。
“上手い操縦者”より、“崩れない工程が作れる人”が、測量では長く勝ちます。

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