ドローン点検(橋梁・屋根・外壁・設備・太陽光)

ドローン点検

(橋梁・屋根・外壁・設備・太陽光)

点検は「飛ばして撮る」より、“近づく運用”を安全に成立させることが本体です。
空撮と違い、点検は寄るほど難しく、止めどきが品質になります。
このページは、点検案件を“現場で崩れない形”に整理します。

目的

人が近づきにくい場所や高所を、安全に確認するために使われます。 異常の早期発見や、点検作業の省力化が狙いです。 点検で大事なのは「撮れた」ではなく、必要な部位を、必要な解像度で、再現性をもって記録できたかどうかです。

現場

構造物に近い飛行になりやすく、風の乱れや電波環境、障害物の影響を受けます。 第三者の立入管理と、危険を感じたら中止できる運用ルールが重要です。 とくに橋梁や屋根、外壁の近接飛行は、GPSが不安定になる反射で距離感が狂う突風・乱流で吸い寄せられるなど、空撮では起きにくいリスクが同時に発生します。

成果物

劣化箇所が分かる写真・動画、部位ごとの記録、比較用の定点画像、簡易レポートなどです。 熱画像(サーモ)を使う現場もあります。 点検は「映像がきれい」より、部位名・撮影方向・距離感・日付が揃っていることが重要です。 後で比較するために、同じ構図(定点)同じ条件(高度・距離)で残す運用が強いです。

よくある誤解

「空撮と同じ感覚で近づけばよい」と考えると危険です。 点検は“寄るほど難しい”用途で、飛行の止めどきと立入管理が品質と安全を左右します。 点検の失敗は「撮れない」ではなく、危険に気づかず寄り続けることで起きます。


この用途で特に押さえるべき「特定飛行」の論点

点検は、構造物に寄る=距離が詰まるため、特定飛行の中でも「30m未満(人・物件)」に当たりやすいのが最大の特徴です。 さらに、現場条件によっては目視外・夜間(薄暗い時間帯)も重なります。

論点 点検で起きやすい場面 現場での対策の方向
30m未満(人/物件) 壁・屋根・設備に寄る/足場や車両が近い “測る”より“入れない”。第三者導線を遮断し、補助者で監視を厚くする
目視外 屋根の向こう側・裏面・配管裏で機体が見えない 補助者配置・監視範囲を決め、見えない区間を短く区切る
夜間(薄暗い時間帯含む) 夕方の点検、屋内に近い暗所、日陰の多い現場 視認性・灯火・中止基準を厚く。迷うなら夜間前提で設計
DID(人口集中地区) 市街地の屋根・外壁、商業施設、マンション DID判定→立入管理の成立可否→成立しないなら計画を作り替える
空港等の周辺/緊急用務空域 病院ヘリの運用が近い、災害対応の近接現場など 該当確認を早期に実施。緊急用務空域は当日確認が必須

点検の鉄則:「寄るほど情報は増える」が、「寄るほど事故率も上がる」。
だから点検は、寄り方のルール(近づける条件/引く条件/中止条件)を先に決めておくと強いです。


点検で事故が起きやすい理由(空撮と決定的に違うところ)

点検は「障害物に当たる」だけでなく、近接環境ならではの挙動が起きます。 これを前提に運用を作ると、止めどき判断が速くなります。

  • 乱流・巻き込み:橋の下や壁際、屋根の縁は風が乱れ、機体が吸い寄せられたり流されたりします。
  • GNSS/コンパスの不安定:鉄骨・設備・建物影で測位が不安定になり、姿勢が揺れやすくなります。
  • 電波環境:設備室・工場・高圧設備周辺では、通信が不安定になることがあります。
  • 視認性の低下:背景が同化し、機体の姿勢・距離が分かりにくい場面が増えます。

品質と安全を両立する「現場運用」の型

点検は、操縦の上手さより、現場運用の設計が結果を左右します。 ここでは、案件ごとにブレにくい順番で整理します。

STEP1|点検対象を「部位」に分解する

いきなり飛ばすと、撮り漏れ・撮り直しが増えます。橋梁なら桁・支承・床版、太陽光ならパネル列・接続箱など、 点検対象を部位単位で分解し、必要な距離と画角を決めます。

STEP2|近接は「段階的に寄る」ルールにする

最初から寄ると、乱流や測位不安定に対応できません。 遠め→中間→必要なら近接の順で段階的に寄り、危険兆候が出たらすぐ引ける設計にします。

STEP3|立入管理は「導線」から作る

点検現場は第三者が入りやすい場所(道路沿い、歩道、住宅地)になりがちです。 コーンやテープを置くだけでは足りず、第三者が入ってくる導線を押さえ、補助者の配置と声かけで“入れない”運用にします。

STEP4|中止基準を「具体」にしておく

点検は、危険を感じた瞬間に引けるかが勝負です。 例:機体が流れる、測位警告、通信が不安定、第三者が侵入、風が想定以上、暗くて距離感が出ない。 こうした条件を事前に言語化し、現場で迷わないようにします。


発注者に先に伝えると揉めない「説明のポイント」

点検は「寄れば全部見える」ではありません。
先に伝えるべきは、①近接ほどリスクが上がり、止めどきがある②第三者導線があると成立しないことがある③撮影は“部位ごとの記録”として整理して納品する、の3点です。
この3点を最初に共有すると、当日の中止判断や撮影範囲の調整がスムーズになります。

納品で差が出るポイント(点検は“整理”が品質)

点検は「映像がある」だけだと使いにくく、結局“撮り直し”になります。 納品で差が出るのは、部位ごとの整理比較できる形式です。

納品の工夫 効果 具体例
部位別フォルダ 確認が速く、社内回覧がしやすい 「屋根_北面」「外壁_西面」「設備_配管」など
定点(比較) 経年劣化の比較ができる 同じ構図・同じ距離・同じ画角で撮影
簡易レポート 「どこが怪しいか」が一目で分かる 部位ごとに代表画像+所見+位置情報

最後に|点検は「寄り方」と「止めどき」で勝つ

点検は、空撮と同じ感覚で寄ると危険です。
段階的に寄る第三者を入れない危険兆候で迷わず中止する――この3つが、品質と安全を同時に守ります。
“うまい操縦”より、“崩れない運用設計”が、点検では長く勝ちます。

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