NDフィルターって何?
4月末に発売されたDJI社のMavic Air2。
DJIから純正品として同時に発売された附属品(別売り)が、Mavic Air2専用のNDフィルターだ。

ちなみに、Mavic2やPhantom4の場合、DJI以外のメーカーから、専用のNDフィルターが発売されている。
もともとカメラが趣味であるとか、フォトグラファーであれば、NDフィルターについては、説明するまでもない常識なのかもしれない。
実際、メーカー公式サイトのNDフィルターのところを見ても、いろいろな数字は並んでいるが、具体的な説明はほぼない。
しかし、「ドローン」が入口の人にとっては、NDフィルターって何?って思った人も多いのではないだろうか。
「NDフィルターを使ってみたいけど、どうやって使ったらいいか分からない…」
フィルターを使用して良い写真を撮る人もいるから、興味はあるのだけど…。
計算など色々大変そうだから、始めにくいなと思う方もいると思う。
そこで、NDフィルターについて、NDを実際につけ、撮影した写真を使いながら解説していくことにする。
ただ、今回は、ドローンにNDフィルターをつけた解説ではなく、一般のカメラにNDフィルターをつけた解説である。
カメラの露出とは?
カメラの露出は、?絞り(F値)、?シャッタースピード、?ISO感度で決まる。
この3つの値を調整して露出を決定し、画面の明るさをコントロールしていくのだ。
カメラに光を取り込むことを「露出」といい、その時に光が通る穴が「絞り」だ。そして、その穴が開いている時間が「シャッタースピード」である。
以上のことを踏まえて、今回は絞りを「蛇口」、光を「水」、シャッタースピードは「蛇口が開いている時間」と例えてみる。
まず、蛇口の下にコップを用意。
蛇口をひねるほど水の勢いは増して、コップは水でいっぱいになる。
反対にそんなにひねらないと、水の勢いは弱くなり、コップに水が貯まる時間が長くかかる。
コップの水があふれてしまう状態は、露出オーバーで明るすぎる写真。
コップにいつまでも水がたまらない状態は、露出アンダーで暗めの写真。
コップが水でいっぱいになった状態が、適正な露出の写真になる。
では、「絞り」などのカメラキーワードに変換して説明してみる。
絞り(=水道の蛇口)の穴を大きくするほど、光(=水)がいっぺんに入り、シャッター速度(=蛇口が開いている時間)は速くなる。
反対に、絞りの穴を小さくするほど、光が時間をかけて入るため、シャッター速度は遅くなるのだ。
3つの値の説明
?絞り(F値)
→開放に近づくにつれピントが合っていない部分のボカしが激しくなる。
逆に絞り込むほど、前後にピントがあっていく。
?シャッタースピード
→シャッタースピードが速いほどブレを防げる。
スローシャッターだと、幻想的な風景が撮れる(三脚必須)
?ISO感度
→ISO感度が低いほど豊かな色彩で撮影できる。
(色彩のもつグラデーションを再現できる)。
感度が高いと画像が荒れるがシャッタースピードを稼げて、撮りやすくなる。
これらを操作してイメージに合った設定を選択していくことが、カメラの醍醐味ともいえるだろう。
しかしその3つの値を調整したくてもできない場合がある。
それは「暗過ぎるor明る過ぎる」場合だ。
前置きが長くなったが、NDフィルターは後者の状況「明るすぎる場合」で非常に役に立つフィルターである。
明る過ぎる場合は、F値を最大限絞り、シャッタースピードも高速にして、感度も低くしなければならない。
しかし、そうすると設定の自由がきかずに、表現の幅が狭まってしまう。
NDフィルターとは
NDフィルターとは光を軽減させるフィルターのことだ。レンズに装着して、サングラスのような役割がある。
光の色を変えずに光量だけを軽減させることができるので、3つの値を調整できる幅が増える。
NDフィルターの種類
NDフィルターにはいくつか種類がある。
代表的なのがND4/8/16/32/64/256 の6種類といったところだ。
この数字分の1が光の量の軽減率になる。
例えば、ND8を装着すると光は8分の1になる。
露出になおすと次のようになる。※段というのは露出を数えるときの単位。
ND4(-2段)
ND8(-3段)
ND16(-4段)
ND32(-5段)
ND64(-6段)
ND256(-8段)
絞り(F値)を段ごとに表すとこのようになる↓
F1.4/2/2.8/4/5.6/8/11/16/22/32
これは暗記のようなもので覚えておくと撮影の時に役に立つ。
例えばF22の3段下はF8であり、F2.8の2段上はF5.6であるということを表している。
※F値の数字的にはF8の次はF9も存在する。
ただ、それは3分の1段という扱いになる。
露出補正の際に「+3分1」というのような表記を見たことあると思うが、それである。
さてここで実際の写真を見てみる。
※使用レンズ・F4~22・120mmのレンズ NDフィルターはND8を使用。
まずはF22で撮影したもの↓

F22の限界まで絞ってやっと写っている状態である。
次はNDフィルター(ND8)を使ってみる。
絞りはF22のまま、前にかざしてみるとこうなる。↓

レンズ全体にNDフィルター(ND8)を装着してF22のまま撮影↓

フィルターによって暗くなったので、3段分絞りを上げる(F8にする)↓

明るさがNDフィルターをつける前と同じになった。
比較すると↓(左・F22 NDフィルター未装着 右・F8NDフィルター装着)

明るさは同じだが背景のボケ感が変わっている。それは絞りをF22からF8まで下げたから。
このように明るさを抑えることでF値を下げることができ、表現の幅を広げることができる。
それがNDフィルターの利点だ。
さらに回析現象を防ぐことにもつながる。
回析現象とは、F16以上絞り込むことによってレンズに光が綺麗に入らずに結像が乱れ、画質が下がる現象のことである。一般的にF8前後がレンズの性能を最大限活かせるといわれている。
試しにF8のままNDフィルターを外すと↓

このように3段分明るくなってしまい、ほとんど白飛び状態になる。
例えば真夏の炎天下での撮影などは、光量が強いため露出オーバー(白飛び)になりがち。
そういった場合にNDフィルターは必須のアイテムになります。
またNDフィルターはシャッタースピードにも同じ効果をもたらすが、今回はF値に焦点をあてて説明した。
今回のNDフィルターのメリットまとめ
・F値に自由度を与え表現の幅を広げる
・回析現象を回避できる
・明るすぎて白飛びしてしまう場合でも撮影可能になる
何を撮影し、どのくらいの明るさなのかよくシュミレーションすることがポイントだ。?
撮影に柔軟に対応するためにも何種類かNDフィルターを常備しておくといいかもしれない。
何となく、NDフィルターのイメージが分かったのではないだろうか。
ただ、あらかじめカメラが搭載されたドローンでNDフィルター活用する場合、多くが「自動」でドローンにお任せすることになる。
長々と説明してきたが、シンプルに、次の二つを頭に入れておけばよい。
NDフィルターをつければ、光の量を減らすことができる。
ND4/8/16/32/64/256などの数値が大きくなればなるほど、光の量を減らすことができる。
あとは、実際にNDフィルターを付けた状態のドローンで撮影してみながら、いろいろと試してみて、自分自身で上手な活用の仕方を見つけていけばよいだろう。
