行政機関購入のドローンに関し、政府によるセキュリティー強化の方針
政府は、2021年度より、各省庁や独立行政法人が購入するドローンに関し、セキュリティー強化の方針を2020年9月、決定した。
ドローンが集めた飛行記録などのデータが盗み取られるのを防ぐというのがその理由である。
実際、アメリカ合衆国では、2019年10月に、アメリカの土地や資源を管理する内務省が、保有するドローンのうち、800機を越えるのドローンの利用を停止しており、いまもそれは続いている。
これは中国製のドローンや、中国製の部品を使用しているドローンに対するセキュリティ上の懸念が原因といわれている。
セキュリティ上の懸念とは、ドローンによって、スパイ活動やサイバー攻撃が行われる危険性である。
こうした背景もある中で、日本では、今後、国や地方といった政府の機関や部局が、ドローンを購入する場合、内閣官房に計画書を提出し、「飛行記録や撮影した映像や写真の外部漏えいを防ぐ機能を備えているか、また、サイバー攻撃による乗っ取りを防ぐ機能を備えているか」といった審査を受けることが義務づけられるようになる。
政府の機関ということは、防衛省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、国家公安委員会(警察庁)も含まれる。
また、国立大学法人は独立行政法人の一形態であるため、含まれることになるだろう。 該当するドローンは、すでに保有済みのドローン機体も2年以内にに置き換えるよう求めている。
該当するドローンには、具体的に、どの国が製造したドローンであるか、どのメーカーであるか等は明言されていない。
しかし、アメリカ合衆国でもドローンに関して同様な動きがあったり、日本では、実際に、中国製のスマートフォンが新規に発売されなくなったりしていることを鑑みると、「中国製のドローンが含まれる」とも考えられ、これにより、中国製ドローンの新規購入が事実上、排除される可能性も少なくない。
たしかに、産業用ドローンは、今後も、
1) 安全保障に関わるもの、
2) 犯罪捜査、
3) 発電所や鉄道などの重要インフラの点検、
4) 人命救助
等でも活用されるのは間違いない。
そうすると、政府のこうした動きは想定外ではないだろう。
見落としてはならないことは、「行政機関が外部に業務委託した場合も対象」になるということだ。
もちろん、一般向けドローンに関して、現在、日本でも、多くの人が中国のメーカーであるDJI社のドローンを使っており、空撮など一般的な使い方をしている限り、それらの日本での使用ができなくなることはないと思われる。
現段階では、具体的に、どの国が製造したドローンであるか等は、政府は明言していない。
ただ、産業用ドローンに関しては、話は別である。
民間企業であっても、何らかの形で、行政機関から業務委託されている場合も多いのではないだろうか。
産業用ドローンについては、現段階では、どのような機能がついて、どんなことができるかを知っておくことは重要だが、海外メーカーのドローンの購入を検討している場合は、可能であるなら、現段階では「様子見」が賢い選択かもしれない。
見方を変えると、このような状況になるとすれば、産業用ドローンに関しては、今後、国産メーカーがさらにシェアを伸ばしていくことになると考える人が多いだろう。
さらに、産業用ドローンでシェアを伸ばした国内企業が、そのあと、一般向けドローンのシェアを伸ばしていくと考える人も多いだろう。
